最近読んだ衝撃的な本

日本に夏に帰った際に買ってきた「偽善エコロジー」という本。

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

この著者の方はホームページも持っていて、実はそこでいくつかの記事は読んだ事があったんです。
武田邦彦教授のホームページ(中部大学)


何が衝撃的って、エコって本当は何?という疑問や、
エコという名の下に、意味の無い事までやってしまっている事についての警鐘とでも言うべきか、
すごく興味深い「現代のエコブームへの疑問、反論」を工学博士らしい切り口で書かれています。


レジ袋撤廃運動が石油使用量を減らす為、というのが誤りであるとか、
レジ袋を貰わない為に、わざわざ新しいポリエステル製のエコバッグを買う(私も買いました(汗))
日本ですと更にゴミ分別の為に、レジ袋よりも良質の指定ゴミ袋を購入しなくてはいけないなど、という、
結構今では「当たり前」とされていたエコの常識について、
ことごとく反論されています。
これには、非常に現代のビジネスが大きく関わっています。
何故ならば、レジ袋撤廃することで、実はお店が儲かる仕組みになってるからです。
(無料配布だったレジ袋有料化でお金が取れる。エコバックが売れる。ゴミ袋が売れる・・・など)


武田氏曰く、もともと物販用のレジ袋というのは、石油精製の際にでた燃料としては使用不能なカスの部分を使ったリサイクル製品なのだそうです。
そして、ポリエステル製エコバッグや指定ゴミ袋などは、残りカスではなく石油を使って作るので、その生産量が増える事の方が実は燃料使用可能な石油を使ってることになるとのこと。
布地のエコバッグならばOKなのかもしれません。
エコバッグについては繰り返し使える物なので、ゴミを減らすことには繋がるかもしれませんが、
石油使用量削減!という視野から見ると、カスを再利用しているレジ袋の方がエコなのではないか?ということです。
我が家のバスルーム、私や相方の部屋などに置いてある小さいゴミ箱類には、
レジ袋を掛けています。中身を大きなゴミ箱に移してまとめるようにはしてますが、
やはり穴が開いたり、汚れたりすると袋ごと縛って大きいゴミ箱にぽいっと捨てます。
じゃあ、その袋を止めて見れば?と言われると、もしも汚れたら・・とか、
変な話、鼻をかんだティッシュはばい菌だらけだしな〜とか、
そしたらゴミ箱を毎回洗う→水も洗剤も使う→エコ?
ということで、我が家は在庫が無くなると、エコバッグは持たずに買い物に行ってもらってしまいます。
じゃあ、小さいビニール袋を買えば?と言われたら、それこそ全然経済的ではないと思います。


ちなみに、レジ袋をもしも完全撤廃したとしてもう製造しなくなってしまうと、
そのカスの再利用自体が無くなるので、レジ袋が作れるはずの素材をそのまま燃やす事になる・・・・・それはCO2を排出したり、熱の排出に繋がるのでは?
割り箸についても、日本では元々材木用の木を育てる為に、間伐した木の再利用だったのに、割り箸を使わなくなると、その間伐材はただ捨てられるだけになるとか・・・・。
(間伐とは、いわば間引きみたいな物で、より立派な木を育てる為に、周囲をあるていどきれいにする為に、定期的に成長を妨げる木を除く事だそうです。)
ただし、中国製の割り箸は立派な木材から作られるそうなので、使うなら日本製なんだそうです。
(でも外食してたらわからないですよね・・・どこ製なのかって。)


・・・・ひえ〜ですよ。本当に。
ただこのレジ袋撤廃は、広大な土地があるゆえ未だに処理せず埋め続けるアメリカであればポリ袋を使わないのはある程度は有効です。指定ゴミ袋はないですが、ゴミ袋は買ってますし、結局そのゴミ袋を埋めてることには違いないのですが・・・・・レジ袋の分だけ減らせるという程度かもしれません。
アメリカのBBQなどで多く使われる、紙皿やプラスチックのナイフ・フォーク類などの使用量を減らすとか、
そういう方向の方がいいような気もします。


ちなみに、紙のリサイクルなどについても、インクを落として漂白してまた白い紙に戻すまでに使う薬品量などの為に、実は自然に有害なリサイクルペーパーになってしまうとか、(しかもコストもかかるため高額)
コーン利用のエタノール燃料は、精製段階に実は多大な石油を使い、CO2も排出する為本当にエコなのか?
バイオエタノールについては、アメリカ政府と農業組合のような団体との癒着が指摘されることも多々あります。)元々食べ物であるはずのとうもろこしを使うというのは、食べ物が有り余る国だからこそ出来ることであって、本当に世界の平和を願うなら、その分の食料を飢餓で植えてる人の為に使う事は考えられないのか?
燃料製造によってとうもろこしの価格が上がることで、本来の食用・飼料用より燃料用として売る農家が増えるのではないか?飼料不足の為に価格高騰→肉・乳製品の価格高騰→食糧不足になるのでは?
など、様々な事柄での問題提起をされています。


また温暖化やダイオキシン発生などによる環境被害の報告書で使われるデータについての疑問などについても触れています。南極の氷山が溶け始める(不都合な真実などでも使われましたね)というデータは、実は溶けてる部分にだけ触れていて、実は増えている部分もあるのに、そこには一切触れていないとか、
要は自分の結論に対して都合の良い部分のデータだけを使っていたりすることがあるとのことです。


悪い事ばかりなのか?と言えば、
アルミ缶のリサイクルはかなり有効のようです。アルミからかなりの純度のアルミが再生成出来るらしいです。


本当に本当に考えさせられました。
自然に優しいから、地球に優しいって言ってるから、とメディアに踊らされる自分を見ました。
実際は、一体その「エコっぽい行為」によって、どういうことが起こるのか?
そもそも、使用を控えようと思った商品が、一体どういう物であるのかすら、知らなかった・・・。


でも作者の方は、じゃ、何もするな?というのか?と言うと、
物は大事に使おうということを訴えています。
ゴミの削減自体は大切なこととして書かれています。
ゴミの量は減らないけれど、潰せば小さくなるとか分別したからOKとか、
そういうことでは無いのだということ。


もちろん、これは著者の持論であって、それに反論する人もネットで見ていると居るようです。
でも、私はこの本を読んで見てつくづく色々考えさせられました。


ちなみに、日経ビジネスオンラインの書評も面白かったので興味のある方はどうぞ。
(2ページ目は会員登録しないと見れませんが、無料でした)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080609/161122/?P=1

ちなみに、エコ後進国として名高いアメリカに住む私ですが、
最近は少しずつですが意識が変わっている部分もあります。
日本は多分世界で1,2を争うエコ先進国なので(ヨーロッパも盛んですね)
それに比べればまだまだなんですが、
それでも少しずつでも変化がある事は、無いよりはましだと思っています。


私がこちらに来た当初、ゴミの分別を殆どしないで、何でも同じゴミ箱に入れるのを見て、
「・・・いいの?」と聞くと
「分別したところで回収が一緒だからしょうがないでしょ。」と言われて、
意味が無い行為と思われても仕方ないと思いました。
もちろん、あるにはあるそうなんです。ゴミを分別してリサイクルとして引き取ってくれる所が。
本当に気にしている人は、わざわざ自分で車でそこまで運ぶんだそうです。
でも自治体としての普通のゴミ回収サービス(有料)は、全部一緒に運んでいくわけです。
回収のサービスにお金を払っているのに、更にガソリン代を掛けないと、分別は成り立たないんですよね。


ゴミの分別にはあまり興味を示さなかった5年前の相方ですが、
現在グリーンな住宅建築を目指してコンサルタント活動しています。(住宅デザインが仕事)
何がグリーンかと申しますと、再利用木材の活用、自然な素材とオーガニック塗料や接着剤を使用して、
天然大理石の代わりに加工コンクリートを使ったシンク等、色々勉強しています。
再利用木材はいわば合板なのでしょうが、現在はかなり質が上がってきているようです。
どこかの州の刑務所の職務訓練の一環で作られていたりするそうです。
最近、やっとアメリカにも少しずつその波が出てきたのか、
いくつかの建築会社の相談に乗ったりしているようです。
そんな小さいことからでも、意識が変わって来たというのはいいことだなぁと思います。


ということで、色々考えさせられているこの頃の私なのでした。
Thanksgivingは、相方の祖父母宅までお邪魔するようなので、何を作って持っていくか、
考えないと・・・・(毎度、こういうのが一番苦痛。お菓子作りはあまり得意じゃないので(笑))
クッキーにしようかなぁ・・・(アイスボックスクッキー)
今から考えます(笑)


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