アメリカの歴史に残る日

昨日は、大統領選挙日で数日前から私が受けているクラスの教授からも、
「もしも時間の調整がつかなくて、授業の時間と選挙に行ける時間帯が被ってしまったら、
選挙を優先するように」
というお達しがありました。
私はもちろん永住権保持者なだけなので選挙権が無いのですが、
それでも今回の選挙の行方は私が今後住む国の将来がかかっていますから、
注目していました。


クラスが終わって家に着き、一息ついて夕食の支度を始める頃、
義妹がやって来て、一緒に選挙速報番組を見ることに。
どきどきしました。
我が家はCNNで開票速報を見ていたのですが、
オバマ氏の当確が出たのが、11時過ぎ。
時差があるので実は一番西のカリフォルニアが投票を打ち切ったのが現地時間夜8時。
数分後には当確が出た事になります。


ちなみに私はアメリカに来て二回目の選挙でした。
前回は、何が何だか判らない状態で速報を見たのですが、
今回は、ディベートも見たし、学校でも家でも選挙の話をよくしたので、
もっと興味を持って見る事が出来ましたし、前よりはシステムも少しは理解できました(笑)


最初にマケイン氏の敗北宣言を見たのですが、
「このスピーチをずっと選挙戦でしていたら、結果は違ったかも」
というくらい、今までで一番いいスピーチでした。
潔く負けを認め、オバマ氏の名前を出すたびに出るブーイングも静かに宥めて、
「男らしい去り方」をしたと思います。


そして、オバマ氏の勝利演説が12時丁度に始まりました。
彼の演説は、本当に素晴らしかったです。
一言一言に、力を感じ、そして未来への希望を託したいという気持ちになりました。
投票前から、彼が当選したら暗殺されるのでは?という噂がありましたから、
防弾ガラスを張り巡らせての演説でした。

アメリカの歴史で遂に有色人種がトップに立つ日が来たというのは、
本当に意義のあることです。
アメリカの短い歴史の中で、この人種による差別の問題は、
数々の転機を経て少しずつ変化してきました。
奴隷解放から始まり、黒人の人権の復活、差別の撤廃、
様々な出来事を経て、現在、他民族が共存する社会が実現出来たわけです。
現在、私はアメリカではマイノリティの立場にいます。
日本では感じなかった事、見えなかった現実も何度も目の当たりにしました。
見えない差別はまだ存在するものの、
「人の肌の色で差別するべきではない」という風潮を作り上げることが出来たこと、
そして今日、有色人種初の大統領が誕生したことは、
アメリカの歴史上また大きな一歩になったのだと思います。
でもこれは、マイノリティだけの願いではないのです。
白人のアメリカ人達の多くも、白人だけが先頭に立つ時代は終わったと思っているし、
人種の枠を越えて、自分が賛同出来る人に投票したという人が多いと思います。


アメリカの歴史が変わる瞬間に立ち会えたことを思うと、
鳥肌が立つほど感動しました。
私も年をとったら、歴史の教科書を見ながら
「この時は、うちの地下のバーでビールで乾杯したんだ。」
と思い出す日が来るのかもしれません。