寂しさと達成感

母達が、帰る日がやってきた。
10日間は、やっぱり駆け足で過ぎてしまった。
空港に向かう間も、母達は、広大なペンシルバニアの景色を
惜しむように、来た時と同じように眺めていた。


私の心の中では、楽しんでもらえただろうか?
母達が、長旅をして来た甲斐があったと思ってもらえるだろうか、
そんなことが頭の中でぐるぐるしていた。


空港でチェックインを済ませ、
ゲートで別れるとき、やっぱり泣けてしまってしょうがなかった。
今生の別れでもあるまいし、と思うかもしれないが、
10数時間の長いフライト、初めての乗り継ぎ、
そんな大変な思いをしてまで会いに来てくれたこと、
それが本当にありがたくてしょうがなかった。
それに、久しぶりの家族の温かさに触れ、
娘の気分に戻ったことが、とっても心地よくもあった。
だから、母と離れるのがとっても辛かった。


大泣きする私に、母は自分のイニシャルの入ったハンカチをくれた。
アメリカに来て母が学んだ「ハグ」もしてくれた。
叔母さんは、自分の妹が娘と離れる姿をじっと見守っていてくれた。
妹の時に初めて感じた、見送る側の気持ち。
それがまた今度は大波のように押し寄せて、涙が止まらなかった。
相方は、母達がゲートをくぐるのを見つめる私の肩を、
そっと抱いて、一緒に見送ってくれた。


その後、ハリスバーグで朝食を食べに行っても、
食欲は戻ってこず、「あぁ行っちゃったねぇ。」と、
ため息をつく私。
相方から、「Big Eater」の称号をもらう私には、
有り得ないことであった。


家に着いた頃、もうそろそろ母達の乗った国内便が
乗り換えのデトロイトに着いたな〜と思っていたら、
気がついた。
母達に、デトロイトから電話するように頼むことを!。
がーーーーーん。


その後、母の携帯は国際電話を受けられない為、
無事成田に着いたという知らせをくれるようにと、
妹、父、弟にメールしまくって頼みまくり、
その後10数時間、そわそわしまくる羽目になるのである。


母と叔母は、また色々珍道中に見舞われたようではあるが、
無事成田に着き、早速日本蕎麦を食べたというメールが入った。
ほっとして、やっと眠りにつけたのは、翌朝で、
予定していた仕事を休んで、爆睡したのは言うまでもない。


ということで、母達の来訪は無事に済み、
この夏の一大イベントが終わったのである。