幸せの形

相方の弟は、非常に心根の優しい男である。
それゆえに非常に繊細だったり、流されやすかったり、
純粋がゆえに騙されやすかったり、傷つくことも多かった。
家族もそれに振り回されることも多かったのだが、
ここ数年、やっと持ち直してきたなぁというところだった。
ADDという言葉が浸透していない彼の子供時代は、
何かと大人に「悪い子」のレッテルを貼られてしまい、
辛いことも多かったらしい。
様々なことを経て、今は安定した仕事にも就き、
自分で車も買い、ようやく少し自立の兆しが見えてきたところだった。


そんな彼が、このたび、今付き合っている彼女と婚約したと、
電話で聞いた。


彼は、うちの相方とは真逆で、
結婚して家庭を築きたい、子供が欲しいとずっと言っていた。
子煩悩な性格のため、シングルマザーの彼女というのも多かった。
子供がいることは、彼にとってはデメリットでは無く、
喜ばしいことだからである。
今回の彼女も、子供が二人居る。
付き合い始めて、まだ1ヶ月である。
まさに「電撃婚約」なので、
さすがに「孫が欲しい」と嘆いていた相方のママも、
「もう少し冷静に考えてみたら?いくらなんでも早すぎる」
とたしなめたらしい。
が、今回は止まらなかった。
彼女の両親にも挨拶を済ませ、指輪と共にプロポーズしたそうである。


彼は知っていたのだと思う。
彼が本当に幸せだと感じて生きていくには、
守りたいと思う家族が必要で、
そのことで、自分の中で確固たる責任感が生まれるということを。
彼は、
「自分の為にだけだと上手く出来ないけれど、愛するものに与えることは厭わない」
というタイプなのだと思う。


自分が幸せになる為に必要なことというのは、
人それぞれ違う。
相方は、まず自分がしっかりしなければ何事も上手く行かない、
だから、自分の生活を確立しないと幸せは成り立たない。
自立という言葉を愛してしまってる人間である。
そしてそれ故に、あんまり他人を必要としないと思っている人間でもある。
でも、それは本当の孤独感というのを味わっていないからで、
実は、今の友達から離れることを何よりも恐れているのを私は知っている。
今の家が好きなのも、
いつでも友達が遊びに来れる場所にあるからなのだ。
私が思うに、彼はとてもフレンドリーなので
ちゃんと新しい場所で新しい友達も作れると思うのだが、
それでも、彼は今の環境は捨てきれない。
いわゆる友達依存って奴なんじゃないかと、
私は最近分析していたりもする。
「友達命」男、それがうちの相方である。
気分はまだまだ20代前半(気持ちだけ)(笑)
ま、それが彼のいいところでもあったりするのだが。


ということで、これまた色々考えた金曜の夜であった。