反応が無いって困る

相方は、わりと無反応な男である。
男は黙って・・・と言う、高倉健のような奴なのか、
というと・・・・そこまでハードボイルドでもない気もするのだが、
要は、興味が無いことには無関心、自分が好きなことだけに盛り上がる、
という「自分勝手な男」である。


なんて、自分の恋人のことをそんなにこき下ろしては行けないなぁと思うのだけれど。


でも、である。
ご飯を作っても、「美味しい?」と聞くまでは反応が無い。
上手いとも不味いとも、何も言わずにもくもく食べる。
まぁ文句を言わないだけまし?
会社から帰って来ても、「どうだった?」と聞けば「よかった」だけだし、
ただ、これも考えようによっては、愚痴だらけよりはまし?


今日、私がNetFlixで借りた、三谷幸喜監督の「みんなのいえ」を見たのだが、
建築に携わる男だし、前に「ラヂオの時間」で割りと反応を示していたので、
「同じ監督の別の映画だけど観る?」
と、誘ってみたら、まぁフットボールも無いことだし、
と、付き合ってくれた。
感想を聞いても「キュートな話だった」英語なら"Cute story."
二語で完了である。


何だかマンネリ夫婦のような私と相方。
こんなんでいいんでしょうかねぇ。
時々心配になる。


普段の私と相方は、どうしてるかというと、
相方は、フットボールが無い限り、
パソコンの前にいるか、バーで雑誌を見ているか、である。
時折、ふと思い立って、料理をしだしたりもする。
私はというと、大抵、学校から帰ってきて、
夕飯の支度をして、一緒に食べて、
その後は、学校の宿題をしているか、
何も無い時は、雑誌をめくる相方の横でテレビを観るか、
部屋に篭ってネットをしてるか、という感じである。


その間、ひどい時は、会話無しになる。
私が話しかけてみても、そういうムードの時は、
お話にならない。
日本の家族の話を聞いても、「ふーん」
学校の話をしても「へぇ」
二文字から、脱出できない。
しかも、相方は寝起きがすこぶる悪く、朝は機嫌が悪いので、
遅く起きてきた相方に朝食を作ってあげて、
自分はもう食べてしまっているので、コーヒーを飲みながらお付き合い、
なんて優雅なことを考えていると、
「・・・で、君は僕が食べてるのを観察してるわけ」
と、うざったそうに言う始末である。
本人は決して悪気は無いのだが、こういうのって、
時に、ひどく傷つくってもんである。


こんな私たちなので、用が無い限り電話も普段はほとんどしない。
メールもしない。
週末同居の時代も(相方がハリスバーグで仕事していた頃)、
週に1回電話があればいい方で、
私から電話しても、「で?用件は?」ってな感じなので、
電話するのも止めていた。
次第に、「どうせ週末会うんだし」という相方の意向に合わせるようになっていた。


なんかこんなことばっか書いていると、すごく冷めたカップルである。
世の中に、毎日何回も電話したり、メールしたりするカップルがいるというのに、
と思うと、
もしかして私って、物凄くつまんない女なんじゃないか?と、
不安になったりもする。
現に、相方は妹やお母さんとは、物凄く連絡が密である。
多分、毎日メールや電話をしているのである。
まぁ、アメリカ人って、家族同士のそういうのは普通らしいのだが、
会話が少ない私にとってみると、
「こんな無口な相方と、一体どんなことで話をしているというのだ?」
という素朴な疑問すらわきあがってくる。


そりゃー言いたくないけれど、日本に居た頃は、
それこそ退屈なんて一つもしなかった。
仕事も忙しければ、その後飲みに行ったり、
色んな友達と遊びに行ったりと、
それなりに楽しくやっていたし。
でも、アメリカに来て、学生になって、
これまたこんな田舎で、車じゃないとどこにも行けないような場所で、
飲酒運転したくなければ、
正直遊びになんて行けないのである。
というか、遊びに行く場所は、夜になったら、
もれなくお酒がついてくる場所くらいしかない。
その他の娯楽は映画くらいのもんである。
夜の映画館に、一人で行くのは、
ちょっとさすがに気が引ける。


しかも、こっちの道楽は、飲むと言ったら、
ひたすら、ビール飲んでるか、ショットをかっこんで、
本当に酔うだけなのである。
それかひたすら話す、のみ。


つまらん。
私は酒飲みではないが、夜遊びは好きである。
じゃぁ家で飲めばいいじゃん、と言われても、
家で飲むなんてたかが知れているし、元々飲むことが目的じゃないので、
そこに何らかのエンターテイメントが無いと、辛いのである。
これじゃ、新しい発見も、ネタも(ってあんた、芸人か?)見つからない。
話も面白くない→つまらない女???ひぃいいい。


というか、実際のところ、多分相方は、私に対する興味は、
ほぼ失せていると言うのが正しいのかも。
一緒に住んでいる弊害なんだと思うのだが、
いつも一緒にいる相手、家に帰れば無条件で会える相手には、
燃えるものがないんだと思う。


たまーに気が向くと、仕事の話もしてくれたりもするのだが、
多くの場合は、私にしてもどうせ判らないと思ってるみたいだ。


・・・あたし、つまんない女なのかなぁ・・・。
と聞いてみたいが、聞くのが怖い気もする。
真っ正直(というか馬鹿正直)な相方のことなので、
「面白くはないね。」とか帰ってきそうで、
そんなの聞いたら、私は多分どん底に突き落とされるだろうし。


ということで、
「聞きたい、でも聞きたくない」
ここだけ読んだら、80年代のアイドルの歌のような、
青い矛盾だらけの初恋系のようなフレーズである。
・・・すみません、もうすぐ私35になるんですが。


世の中のカップルって・・・一体どこからそんなに話すことが、
湧き出てくるんでしょう??
前にも書いた気がするこのフレーズ、
どっかに質問でもしてみようかと、
最近、本気で考えてしまうのであった・・・。