恐ろしい事件

今日、ビジネスに関する法律学の授業の最初に、
先生が「おい、パラダイスで起きていることを知っているか?」と、
かなり神妙な顔で話始めた。
パラダイスとは、楽園のパラダイスでは無い。
私の住む、ランカスターカウンティにある、
アーミッシュがたくさん住む場所の名前だ。
私の通う学校からも車で数十分の場所だ。


その場所で、男がアーミッシュの小学校に押し入り、
生徒・職員を人質にとって立てこもり、
そのうち数人を殺傷して、最後には自殺したというのだ。


確かにここはアメリカ、でもアメリカの田舎で、
ダウンタウンでこそ、物騒な事件を見聞きするものの、
郊外は、のどかでのんびりした場所だ。
私なんて、平和ボケの日本人ではあるものの、
警戒心も強いし、そんな私でも、
何のトラブルも無く平和に暮らしている。
こんな平和なアメリカもありね、なんて思っていたのに。
というか、単にそういう怖い場面には出くわさないだけなのだろうが。
もちろん、話には聞いたことは何度もある。
私にも少しは免疫がついてきたと、ちょっと思っていた。
でも、今回の事件を聞いた時、あまりのショックで、
しばらく口が利けなかったくらいだ。


背筋も凍るとはこのことである。
つい先週、コロラドでも高校に押し入って自決した男が居た。
その時も、人質になった高校生を道連れにしている。


今回は、小学校である。のどかで、文明から離れた生活をしているはずの、
アーミッシュの学校である。
聞く話によると、その男は、その地域の住民で、
20数年前の恨みを晴らすようなことをほのめかすメッセージを
残していたそうである。


今日は、もうその話が学校でも、家に帰って来ても、
しばらく持ちきりで、その度に頭をハンマーで殴られたような気持ちにすらなった。
怖いという気持ちより、むしろ動揺、
憤りと、恐怖と、何でこんなことに、という気持ちが入り混じっている。


この犯人がこの世に居ない今、もう理由や動機は全て藪の中である。
でも、こんなことが二度と起きてほしくない、と思う気持ちは、
きっと誰もが思うことだと思う。
あとはこの事件に巻き込まれて、重態になっている子供たちが、
せめて無事みんな回復してくれることを、
心より願うばかりだ。


こう思う気持ちはきっと万国共通なのだと信じて、
今日はお線香を焚こうと思っている。