相方との小さな和解

家に居ると、掃除するのが止まらなくなってしまって、
神経質じゃないはずの私が神経質になってしまったようで、
すごく気持ちが疲れていた。
なので、こうして日頃の喧騒から離れるのは、気分が良かった。
Aイチには申し訳なかったけれど、
でも、こういうのが必要だなぁとしみじみしていた。

相方と二人で外で話をした。
ことの始まりは、私がフラットウェアを探しているんだけど、
なかなかいいのが見つからないという話からだったのだが、
相方は物を大事にするタイプなので、
「今使ってるのがあるじゃない。」と言い出したので、
思い切って、ルームメイトMの掃除にディナーナイフが使われていること、
どうやら私が思うのと彼女の「清潔」という意味が違うような気がすること、
などを話してみた。
こんなところに来てまで、喧嘩もしたくなかったし、
二人でリラックスしたいい気分もぶち壊したくなかったので、
慎重に話してみた。
一応「彼女、いい人なのかもしれないけれど」と前置きをして。
すると、相方の口から、
「いや〜彼女は全然いい人じゃないよ。いいルームメイトだけど。
部屋に隠れてるし、掃除はするし、って意味で、害無いってことなだけで。」
と言い出した。
そして、彼も私と同様に、
「キッチンの物はバスルームで使うべきじゃない。気持ち悪い」
と思うと言った。


週1回掃除をしろとか、料理をする時は、彼女のやかんはよけろと
言われたので、
「・・・だそうですので、これからはそうしてね。」
と連絡事項として話すと、
「彼女・・・いい気になってきてるんじゃないの?大体にしてあの家は、僕が色々手を加えて、今みたいに快適になってるの判ってないんじゃない?」
と言い出した。
どうやら、一番の古株でこの家の切り盛りをしてきた彼に対して、
リスペクトが無いということを怒っているようである。
「それに、やかん、汚されたくないならストーブの上に置きっぱなしにしてる方が悪いんじゃないか!」
その通りなのよ、そうなのよ。
何でこの前はわかんなくて、今はわかるんだ?相方!
と、心の中で叫びつつ、
「・・・・さぁ、神経質な私をリスペクトしろ!って意味じゃないの?」
と答えると、
なんと、あのバスマットの件を相方が持ち出した。


「大体にして、なんだよ、あのバスマット。使いづらいったらありゃしない。トイレの前にでーんと置きっぱなしだから、いちいち足は取られるし、滑るし。」
(我が家のバスルームの構造上、バスタブの前=トイレの前である。私の洗面所用のミニマットを捨てた後、「ちゃんと代わりを用意するつもりだし」と言って買ってきたのが、バスマット?というか、分厚いラグみたいなので、彼女のきらいな滑り止めはもちろんついていない)
そうか〜相方も嫌いだったのか〜あれ。
「トイレマットとバスマットの違い、判ってないのかなぁ・・・。私は一緒は嫌だなぁ。ぬれたのが床に置きっぱなしも嫌だ。」
と言うと、
「そうだよ、気持ち悪いよ!」とエキサイトして言う相方。
一応、私もそこで、なんでこの前のミニマットが捨てられたのか、
なんで私がそこに置いていたのかを説明すると、
「そうなんだよ!彼女は何も判ってない!」
・・・どうしてそのお言葉が、この前出てこなかったかねぇと思いつつ、
まぁ、今日は試験も終わってきっと気持ちもリラックスしているから、
私の言うことにも耳を傾けてくれたんだろうと思った。


・・・ここまで物分りがいいと少々気持悪いのだが、
でも、相方と「何が気持ち悪いか」という価値観が一緒である、
ということを確認できたのは、ちょっと嬉しかった。


その後、家に帰るとすぐさま、相方はトイレに行き、
そのバスマットは、バスタブの淵に引っ掛けられた。
その後、ルームメイトのMとDが、バスルームに入った後に、
また床の上に放置されたが、それも相方がまたバスタブに引っ掛けた。


翌日、彼女の気分を害したのかは判らないが、
バスマットは消えていた。