健気な子

窓の外を見つめるAイチとBuddy2号


どこの家でもペットを飼っていると、
自分のところの子が一番と思うもんだが、
私もその例にもれず、うちのAイチがかわいくて仕方ない。
しょうがないのだ。飼い主馬鹿と言われようと、
可愛いものは可愛い。


Aイチは、一人っ子なので(生まれた時は兄弟が居たが)
一人遊びに慣れている、とは言え、
やはり日中一人ぼっちで昼寝していることも多く、
遊び相手もいないので、
こちらの人にはよく、「もう一匹飼った方がいいんじゃない?」
と言われる。
でも、である。
ただでさえシャイで、全くと言っていいほど攻撃力も無い、
おとなしいAイチである。
もう一匹居たら、仲良くするかもしれないが、
競争なんてことから今までてんでご縁の無かったのんびり屋なので、
絶対にストレスが溜まることは間違いない。
と、考えると二匹目とは考えられない。


家の中、どこに居るにもついて来るし、
私が出かける時などは、リビングの真ん中で、
ドアが閉まった瞬間、
「ミィヤァアアアン」と切ない声で鳴く。
その鳴き声で、思わず、外から窓越しに覗きに行くと、
とことこと、窓際まで寄ってきて、
鼻をガラスに押し付けるように、私の顔を覗き込むのである。
まさに後ろ髪を引かれる思いである。
「うぅ・・・すぐ帰ってくるからね・・・。」
たかだか学校に行くのでさえこれである。


私が学校から帰ってくると、エンジン音でわかるのか、
必ず窓際にちょこんと座り、窓の外を見つめて、
お出迎えをしてくれる。
もしも万が一、タイミングが合わなくても、
私がドアを開けると、ちゃんとどっかから駆け寄ってきて
お帰りなさいをしてくれるのだ。
(これは実家のネコもやったので、きっと室内飼いのネコならするのかも)
これは相方にはやらないので、私だけの特権なのだ。


寝る時も、相変わらず腕枕を強要し、
必ずどっか私の身体に触れてないと嫌がる。
特に面白いのは、手を握ってくれ、と言わんばかりに、
肉球を差し出すことだ。
これは、私がAイチが子猫の時、
母ネコを恋しがった第一週目、抱っこして寝かしつけた時、
Aイチの手を握って、よしよししてあげたかららしい。


今の私の生活にはAイチ無しなんて考えられない。
となると、いつも心がどこか悲しくなるのは、
泊りがけでどこかに行く場合だ。
もう心配でしょうがない。
えさもそうだが、悲しくて夜鳴きするんじゃないかとか、
色々考えてしまう。


誰かに預かってもらうことも考えたりするが、
元来シャイな猫なので、人様の家で、
夜鳴きなんてことになると、
また心配が増える。


何より、発情期の頃の夜鳴きですら、
Aイチの場合、怒りの雄たけびではなく、
「切ない叫び」なのである。
じゃれて噛み付くまねをしても、
やわ噛みで、ちょっと歯をつけるまねをする程度である。
こんな「攻撃力」も無いネコなので、
たまに「うぅ〜〜」とやる、威嚇すらも、
ちっちゃいハエ一匹に対して、という「平和主義」ぶりである。
友達の家の犬が遊びに来た時は、
怯えて、どっかに終始隠れていた。
ご対面もままならない。


そんなAイチも、2歳半、立派な大人の男のはずなのだが、
世間知らずの箱入り息子である。
ザコン?結構である。
私も飼い主馬鹿街道まっしぐらなのだから(笑)