苦手なもの

前に、Aイチが大きな音が苦手と書いたが、
実は飼い主の私も苦手。
ライブの大音響とか、そこまで行くと逆に開き直るのか、
結構平気なのだが、
正確に言うと、生活音がでかいのがだめ、である。
ドアの開け閉めとか、足音とか、そういう音が大きいのが、
不快なのである。


私は、家では地下のオフィスに篭って勉強しているのだが、
築30年くらいの、おんぼろ平屋(ベースメント付)の床は、
結構、足音が響く。歩き方にも癖があって、
私は足音と歩くテンポで、大抵誰が上階のどこにいるかが判ってしまう。
私の中で、ここに住み始めた当初の、でかい音ナンバーワンは、
生粋の(?)アメリカ人の相方だった。
でも、である。そんな相方でもドアはガンガンとは閉めないし、
歩き方も足音の割りにのんびりである。


ここ最近になり、「自称豪快」の相方を上回る、
でかい音が我が家に鳴り響いている。
それは、ルームメイトの彼女。
彼女は小柄なのだが、その生活音たるや、物凄い轟音である。
足音は、靴を履いていれば、ズカッズカッと鳴り響き、
スリッパを履いていても、ピシャーッピシャーッ(スリッパだとすり足モード。スケートしてるかのような音)
そして、ドアの開け閉めは、ズカっとかドカンとか、すごい音がする。
多分、彼女は忙しいのだと考えてはいるものの、
その音は、地下にいる時だけでなく、隣室にいる時でも同じレベルなので、
階上の音だから響いているわけではないみたいだ。
ちなみに私も屋内ではスリッパを愛用しているけれど、
どうやっても、あの音を自分で再現するのが難しい。


しかし、この小柄な彼女が、なんでそんなに力いっぱい歩き、
力一杯ドアを開け閉めするのか、イマイチ私には判らないのだけど、
本人はきっとそんな気はないのかもしれないが、
私にしてみると、ちょっと怖い。


私はどうやら、結構耳がいいらしい。
というか、音に敏感らしい。


前の職場で、彼女と同じように立ち居振る舞いがうるさい人がいた。
その人は、多分それがカッコいいと思っていたようで、
手帳をめくる時でも、やたらと、
ピシャーッピシャーッと1ページごとに、音を立ててめくるタイプだった。
急いでいなくても、急いでいるように見えるし、
忙しくないのに、たいそう忙しく見えると思ったものだ。
その時以来の衝撃である。


ルームメイトの彼女は、掃除をするにも、
ドカッとか、ガスっとか、物を投げつけているか、
いちいち壁にぶつけながら片付けているように聞こえる音を出す。
どうやれば、そんな音が出るのか、知りたいくらいだ。


でも、である。それが普通と思って生活している彼女にしてみれば、
私は多分、極端に生活音の少ない人間なのかもしれない。
いや、私だって、足音立てずに生活なんて出来ないし、
ドアの開け閉めだって、そーーーーっとやってる訳でもない。
でも、彼女のそれよりははるかに小さいことは確かだ。


この前、私が朝、コートを掛けているリビングの共用のクローゼットを開け、
その日着るコートを選んでいると、
そこに彼女がリビングに入ってきた瞬間
「ひぃっ」
と、まるでお化けか泥棒でも見たかのような反応をされてしまった。
私も一応この家の住人なので、
そういうリアクションをされるとは思ってなかったのだけど、
その時は、「神経質にもほどがある。」と呆れてしまったのだが、
今、ちょっと考えなおしてみると、
もしかしたら、私の生活音が小さすぎて、彼女も怖がっているのでは??
という、見方も出来ると気がついた。
私が彼女のように、足音がガンガンにして歩き、
クローゼットのドアを、ガツンと開けていたら判るってことなのかしら?


・・・でも、それを意識してやるのは、ちょっと難しそうだなぁ。
そんなことをしたら、Aイチがついて来なくなるし。