今日からもう一人増えた

帰ってきて、日記を書いていたら、ルームメイトがやって来て
私に言った。
「彼(相方)から聞いた?今日から、僕の彼女もここに住むことになったから。」
実は、私はこの話を先週末、相方の別の友人から聞いていた。
なんで、外部が先に知ってるんだよ?と思った。
相方も知らなかった話だ。


別に、この家はもともとそのルームメイトのお父さんの家だし、
そこに家賃を払って住んでいるので、どうしようと彼の勝手である。
ただ、今のところ私はこの家に4人は少々多いと思っている。


ルームメイトの話では、彼女は元々オーペラプログラム*1という、
東欧諸国の人向けのプログラムで、数年前、この地にやって来た際に
お世話になった家族の元に去年戻ってきて、
オーペラと同じ条件で、住んでいた。
実際、彼女の今の滞在条件は、私と同じ学生ビザなので、
厳密に言うと、彼女のそのオーペラと同じ条件というのは
プログラムを介していない限り、実は違法なのだが、
彼女はそれで住む家と学費、生活費と、
家族の車を使う自由(ガソリン代を含む)を
今までは自腹を切らずに、
自分の労働の対価に支払われていたのである。
が、しかし、ここに来て、彼女は大学院のMBAのプログラムに移り、
勉強が大変になってきた。
で、自分の時間を切り売りすることが出来なくなったので、
その家族との契約を切って、我が家にやってきたというのである。


私は正直、ちょっと本末顛倒かなぁという気がした。
というのも、彼女は確かに勉強が大変になったのかもしれないが、
私は、彼女が毎夜、我が家に遊びに来ていたのを知っている。
確かにここ数週間は、週3〜4日になっていたけれど、
それでも、男の子と遊ぶ暇があるのなら、勉強するのが先じゃないか?と。
それを、「仕事をしていて時間がないから。」という理由で仕事を辞める方を選ぶのは、
いささか恋愛にハマり過ぎてるんじゃないのかなぁと。
本当の理由は、「仕事していると彼に会う時間が少なくなる」
か、「彼に会う時間は削りたくない。でも勉強もしなくちゃいけない。だから仕事を辞める」じゃないのかなぁと思う。


多分、そのホストが「今年いっぱいで」という彼女の申し出を断ったのは、
きっと恩を仇で返されたと思ったからだと思う。
ルームメイトは一生懸命彼女を擁護する発言を繰り返して居たが、
(学費と生活費、その他は彼女の給料から天引きされていると)。
一体彼女がベビーシッターでいくら稼いでいると思っているのだろう・・・。
一体学費にいくら、彼女がそこに住むことに幾らかかっているのか、を考えれば、その上、彼女に自由になるお小遣いがついていることは、正直、慈善以外の何者でもないと思う。
ベビーシッターがそんなに高給取りなら、
ものすごい高倍率な仕事のはずである。


その上、毎夜、彼氏に会いに外出して(しかも自分の家の車を使って)
朝帰りするのを見ていて、
それで「成績が悪かった」「仕事のせい」「もうやっていけない」と、
自分の都合ばかりを並べたてられれば、そりゃ、「この恩知らず」と思うだろう。
私は、正直、彼女に同情する余地は、あまり無いと思っている。
多分、もう少し理性的に行動していれば、多分彼女はもっと勉強できただろうし、
もしも、それで成績が悪かったなら、きっとそれは自分の努力不足、と
何故思えないのか?その辺が、私のちょっと腹が立つ部分なのだ。


私は、結構その辺はストイックな人間なので、
自分の欲求のままに生きる姿は、甘えているようにみえてならない。
まぁ、人の生き方なので、私がとやかく言う話では無いのだけれど。
きっと彼女も、「仕事が出来ない=収入が無い」ことへのストレスは、
これから感じることになるのかもしれないし、
学費を自腹で払うことになることの現実などを見ることになるのだろう。
今まで使い放題だった数台の車も、ガソリン代も、
支払うことの無かった高速代も、無料で与えられた部屋も、
数々の優遇された生活を全て投げうることが出来るのも、
愛のなせる業なんだろうなぁ。
熱いってすごいなぁ。若いってすごいなぁと思う。


彼女は、本当にそれを覚悟してるんだろうか?
使える車が無いので、彼女はどうやらバスで学校に行ったらしい。
多分、ルームメイトが帰りは迎えに行くんだろう。
車を運転するつもりで組んだ授業スケジュールだったろうし、
バスでの通学の経験が1年ある私にしてみると、
今の生活は到底車なしでは考えられない。
あの頃は、全てがバスの時間に左右され(本数も少ない。最終も早い)
授業の始まる数時間前に家を出て、授業が終わったら
バスがある時間に戻る生活だった。
時間を奪われることの辛さを痛感していた。
家と学校との往復だけに費やされて、
重い荷物と寒さに耐えた日々という印象しかない。


でも、きっとそれを「愛」で乗り越えるんだろうなぁ。
辛くても平気。一緒にいられるなら・・・という心意気なんだろうなぁ。
ある意味、羨ましくもあるけれど、
でも、私にはちょっと出来ないと思う。
ルームメイトも、そんな彼女をサポートしてることに
意義を感じてるんだろうと思う。


そう考えると、
「私は車を運転して、自分のスケジュールをもっと有効に使いたい!」
とか、
「あんたは、私の苦労を判ってない!」
と、相方と幾度となく衝突した私は、
全然健気じゃないなぁ・・・(とほほ)
「あなたとなら、どこへでも〜。」(宝塚の名作「うたかたの恋」調(って知ってる人いるのか?)なんて、美しくも健気な心意気は、私には無かったかもなぁ。


住人が増えることは、プライバシーが減ることになる。
これまた、私が今まで苦してきたことが、増えることになる。
正直、最初に彼女が引っ越してくることを聞いた時、
真っ先に頭に浮かんだことは、「ここを出たい」だった。
相方は、どうせ週数日しか、この家には帰ってこないし、
様々な面で、同居の難しさを感じながら今に至っている。
自分との違いについて譲歩しながら住むという状況が、
更に増えるということである。
相方とルームメイトを理解するのにすら、日々頭を悩ませているのに、
そこにまたまた違う生活スタイルの人が入る。
しかも、今度はルームメイトがやたらと面倒を見るはずなのだ。
「いいよ、君はそれしなくて。」
「いいよ、それは僕がやるから。」と言って、
食器が山積みになったり、物が放置されたり、という状況が目に浮かぶようで
怖いのである。
ルームメイトが彼女を甘やかせば、甘やかすほど、
私への負担は大きくなるのが目に見えている。
家で女一人というのと、女が二人なら、確実に女が二人の方が
やりづらいのである。


その後、相方から電話があった。
「今日から彼女、移って来たよ。」と話したら、
「え?もう??」
(今朝、ルームメイトの部屋からの、長時間のドライヤーの音で、
既に驚いていた。)
「・・・って、彼(ルームメイト)はもう、あなたに話したって言ってたよ。」
「聞いてない・・・・。」
・・・既にだめだめである。
何だか、私から了解を得るために必死と言う感じ。
男と男の間は、何でも事後承諾、みたいな空気があるのも、
私は時折気に食わないのだ。
そして、このルームメイトは自分の勝手なプランを実行するたびに、
いちいち、うちの相方に隠れて連絡を取り、男同士で、話したことを、
「決定事項」として、私に話すのである。
まぁ、相方もそれに反対するわけでもないので、
結果的に同じと言えば同じなんだけど。
それに、私からの了承を取り付ける為に、「彼がいいって言ったから。」
と、相方を盾に取る真似をする。
後から、「あんたいいっていったわけ?」という問答になったことは、
数限りない。
相方ものんきなので、「あぁ、奴がそう言ったんなら、それでいいんじゃない?」
だから、同居なんて嫌なのに。
まるで、女二人が男を挟んでやりあうみたいな気持ち。
この人、本当に男なの?と何度も思ったことがある。


まぁ、今や学校も仕事も忙しいので、家に帰ってきても
寝るか勉強するかの毎日なので、
そうそう顔を合わす事も無いとは思うが・・・。


ただ、あの、ねちっこいべたべたモードを全快にされるのも、
少々頭痛がするのだけれど、
もう少しさらっとして欲しいというのは、
私のわがままになってしまうので、
これは我慢しなくてはいけない。


しばらく様子を見ようと思っている。

*1:裕福な家庭の住み込みベビーシッターをして、学費と生活費を払って貰うというプログラム