たった4泊6日

そうです。1年半ぶりの帰国だというのに、学校が始まってしまっていたので、
見事に4泊6日の帰国だった。
仕事時代の出張並みだと思ったが、でも致し方ない。
今回は、妹の結婚式に出席だったので、
式のある東京にそのまま居る事にして、ホテル滞在で過ごし、
そのまま成田に戻り出国。
本当に出張気分な日程だが、それでも久しぶりに家族に会い、
思う存分話が出来、妹の旦那様にも会えたし、
最終日には親友がわざわざ東京まで来てくれて、一緒に過ごしてもらい。
私はつくづく幸せ者なんだなぁと思った。
帰る頃には、「あぁ、戻りたくない。もっと居たい」というのが本音だった。
それはアメリカで私が不幸だとか楽しんでいないというわけではなく、
故郷や家族が恋しいのは、全く別の次元の話だと感じる。
私はよくこちらの人に「家族と離れて寂しいでしょう。」と聞かれるたびに、
そう答えてきた。
私のアメリカでの生活は充実しているし、
もう慣れてきて随分たくましくなったようにも思える。
カルチャーショックの度合いも少なくなってきているので、
もうかなり順応しているのだと思う。
けれど、日本に帰ってのんびりしたい。家族と話がしたい。友達と遊びたいのは、
まったく別物だ。


久しぶりの日本は、やっぱりところどころ変わっていて、
何と言っても最初のびっくりは、紙幣が変わっていたことである。
私が前の帰国で残していた古い福沢諭吉は、
空港でテレカを買った際、自販機から出て来た時には、
昔の岩倉具視の500円札を髣髴させる、青いお札に、
髪の毛が横にちょっと爆発気味の、野口英世となって出てきた。
「きゃ〜。これが新しいお札なのね〜。」
しかも、行くお店で、出てくるおつりは全て新しい紙幣。
樋口一葉を見た時なんて、もうびっくり。
もちろん、日本円残して、持って帰って相方に早速みせびらかしたのは、
言うまでも無い。
日本のお札独特の幾重にも重なる色の印刷技術と、
透かし加工はアメリカ人には驚きの技術らしい。

テレビを見れば、耳慣れた言葉が聞こえてくる。
お店に入れば、どこも「すばらしく丁寧な応対」。
成田エクスプレスの中の車内販売のお姉さんにすら感動する私だったりする。


ただ、アメリカのマニュアルサービスの中にも一つ良い点がある。
それは、注文の品を持って来た数分後、必ず、テーブルに戻り、
「お料理はいかがですか?」と、必ず客に、注文どおりの品が、
満足できた状態で出されているかどうかを聞いてくれる。
もちろん、そこで不満があれば取り替えてもらうことが可能だ。
でも、日本ではあまり多くは実践されていないと思う。
何故、今こんなことを思ったかというと、
実は、新婚の妹とその旦那様、母と私と4人で、中華のランチを食べた時、
私と妹の旦那が食べた「担々麺」は、ぬるかった。
温製なのか冷製なのか迷うほど。
でも、とりあえず味は良かったので食べ続けたものの、
本当はサーバーを捕まえて言おうかなと思ったほどだ。
その時、「あぁ、アメリカみたいに、いかがですか?と聞いてくれれば、
もっと簡単にぬるいと言えるんだけどなぁ」と、小心者の私は思ったのだ。
アメリカでは、結構小さなレストランでも必ず聞かれる。
例えそれが決まり文句でも、必ずである。


かくいう私も一度、チェーンのメキシカンのレストランに行った時、
あきらかに温まりきってない食事を出され、
(まぁ、店の雰囲気でオール手作りではなく、
ある程度出来た物をあっためてるんだろうと察してはいたが)
「すみません、これ、まだ冷たい部分があります。取り替えてください。」
と一口食べた時点で話すと、
「あ、あったまってないですか?」
と言って、その皿を持って裏に下がり、数分後
「お待たせしました」と言ってにこやかに出されたのは、
私が一口手をつけたままの状態の皿が、明らかにレンジでチンされた状態だった。
・・・確かに間違いじゃないかもしれないけれど、
普通は新しく作り直した物を出してくれるもんじゃないのかなぁと思った。
私が日本の良いサービスに慣れすぎてるせいなのかと思い、
相方に聞いてみたら、「いや〜普通は取り替えるでしょう。」とのこと。
私も、「まぁ、温めてくれたから、まぁいいや。」と食べたが、
結局、その店には二度と行く気にはなれなかった。
アメリカのサービスは、返品可能ではあるけれど、
クオリティにおいては日本のほうがやっぱり丁寧だなぁと実感する。
スープでやけどをされると困るから、ぬるいスープが出るのは、
本末顛倒のような気がするし。


そんなこんなで色々考えながら、短い日本の滞在を終え、
またアメリカに戻ってきた。
Aイチは、物凄い勢いで鳴きながら、走り寄ってきた。
よほど、私が居ない間寂しかったらしく、しばらくは抱っこもさせてくれないくらい、
怒っていた。
「ごめんよ〜。寂しい思いをさせて。」となでてやったが、
翌日の今日になったら、またいつものAイチに戻っていた。
学校も再開したので、今日も朝からばたばただったが、
何とか、無事終わった。
あとは、遅れを取り戻すのに、頑張らなければならないのだが・・。
この週末は、がっちり勉強しようと心に誓った。