なんだかんだ言っても、初めてのアトランティックオーシャン

前から相方に、「夏の間に、一緒にどっか行こうよ。」と言っていた。
でも、その話は、
「男だらけのカヌートリップ」「サプライズバースデー」などなどで、
ことごとく後回しになっていた。
もう私の夏休みも終盤、そろそろ色々準備もしなくては、という時になって、
ようやく相方の重い腰が上がった。
「うっそ〜。」と最初喜んでいたものの、
その頃から、やたらと、うちのルームメイトが
「ねぇ、いつから行くの?」という質問攻撃。
どうもおかしい、なんだ?こいつ?
と思っていたら、どうやら、その週、そのルームメイトの彼女がバカンス先から戻ってくることになっているらしい。
そして、それをうちの相方に言い、要は親友のために、所払いをしてあげよう、という、
まさに男の友情による行動だったらしい。
つくづく、うちの相方は、友達に厚い奴である。
嘘でもいいから、私のために、頑張って休み取ったよ〜とでも、
言ってみる気は・・・無いだろうなぁ。

まぁ、そんな変な動機ではあるものの、
二人で行動するのは、冬のウェストバージニア、行き当たりばったり旅行以来だ。
私も一応、それなりのビーチに行く準備をして、
ニュージャージーのCape Mayに出発した。


Cape Mayは、ニュージャージーの北端に位置するビーチシティで、
夏の別荘地で有名。
湾には、沢山のジェットボートが並び、小さな路面店が並ぶショッピングストリートと、
海辺のレストランが立ち並ぶ飲食店街を中心に、
多くの人が、バケーションに、そして、
若者がひと夏をバイトと海でのレジャーを楽しみに集まる。
相方の友達の弟も、その若者たちの一人で、夏中、その街のレストランでバイトしつつ、
海で遊びまくっている、と聞いていた。
今回は、その人の家に泊まるか、ビーチのコンドミニアムを借りるか、
行ってから決めるということで、また「行き当たりばったり予定は未定」旅行になった。


周りの風景が変わるだけで、こんなに気持ちがすっきりするとは、
今まで色々な場所に行ったが、こんなに気持ちの変化がはっきりと判ったのは、
初めてのことだった。
私は、大して都会育ちでもないけれど、
でも、今住んでいるのは、結構な田舎だ。
(いや、それでも田舎の中では、まだましな方だと思うが)
いろんな不便さとか、行く場所の少なさに、
それまで、色んな場所に行ったり見たりと、少なくとも、自分の故郷では、
それなりに楽しむ術を知っていたと思っていたのに、
何だか、それを皆取り上げられたかのように思えていた。


風景が違うだけで、ちょっとリフレッシュした。
道の脇の茂みや木の高さが違う。
風の匂いが違う。暑いけれど、浜風が吹いているので、
そんなに嫌な暑さじゃない。
そうか、人はこういうリフレッシュもしてるのか・・・と、
33歳にして初めて知った。


地元のワイナリーを数件周って、テイスティングをしたり、
(お酒に弱い私は、もちろん、バックシートで転寝する羽目になるのだが)
海を見ながら朝食を食べたり。
砂浜の上を歩いてみたり、楽しく過ごした。


結局、持って行った水着は着ないまま、2泊して、
アトランティックシティへ移動。
週末なので、沢山ショーがやっているというのを、
地元の新聞で見たからだ。
でも行き当たりばったり旅行なので、そこでは宿が取れず、
結局、ショーはあきらめ、アトランティックシティのビーチで、
海を見ながらピザを食べて、耳のところを、うみねこに投げてやって、
地面に着く直前にすごい勢いで、旋回してきて、ピザの耳を持っていくのに、
見とれていた。
一羽にやると、あっという間に、人だかりならぬ、うみねこだかりになってしまう。
「もう無いよ〜。」と言ってると、
他の場所で、子供がパンくずを投げ始めた途端に、集団で移動する。
すごい反応の速さだ。

こうして、私もちょっとは海辺の楽しみ方を少し学んだ。
(が、しかし、水着は着なかったんだけど)