海とは無縁の女

何を隠そう、私は、盆地生まれの盆地育ちということもあるが、
不思議と海には縁の無い人間で、
生まれてから二回しか海に入ったことが無い。
眺めたことを数えても、両手で足りるくらいだ。
特に仕事を始めてからは、日焼けも控えなければいけなかったし、
元々地黒なので、何もせずとも日常紫外線だけで、日焼けサロンばりの焼け方を
してしまうので、ビーチに寝そべって日焼けの趣味もなかった。
幼稚園の頃、「日焼け大会」というのが、夏休み明けに行われていて、
どのくらい夏休み中に日焼けしたかを競うのだが、
私は、その年、風邪を引いて寝込んでしまい(昔は夏休みは病気ばかりしていた・・・)
ほんの数日しか外で遊べなかったにも関わらず、
クラスで3位に輝いてしまった。
他の子は、海に行っただの、プールに毎日行っただの言っているのに、である。


そこで起こり得る弊害とは、「海の遊び方を知らない」ということだ。
この30数年、そういう生き方をしてくると、
海に行って一体何するの?という、非常に極端な「山の子」現象が起きる。


まして、ここアメリカでは、日焼けはゴージャスと称され、
日焼けサロンは、大繁盛だし、夏にもなれば、
毎週のようにビーチに出かけるか、別荘に出かけ、夏まるまるビーチ三昧という
すごい力の入れようだ。
特にコーケイジョンと呼ばれる白人の皆さんは、一生懸命焼く。
しみ、そばかすが物凄いのに、それでも何のそのである。
胸元や背中がそばかすだらけ、というのも珍しくない。
私は見ただけで「げげっ」と思うのだが、
こっちの男の子は、「そばかす、キュートじゃん。」とか言う。


私にしてみると、そんなことせずとも、普段学校と行き来してるだけで、
赤くともならずに、すぐに真っ黒なので、ある意味リーズナブル。
私は焼きたくないのに、焼けているので、
「あぁ、焼けてしまった」と、ため息をついている横で、
「いい色に焼けてきたわ〜。」と、うっとりと自分の腕を見つめる女の子。


最初は、一生懸命日焼けをしたくないと、紫外線対策を施していたが、
だんだん、暑さにまけ、結局タンクトップやキャミに短パンという、
ラフな格好が主流になってしまい、自然の摂理に逆らわず、
結局日焼けしてしまっている。


美白王国日本に帰ったら、とんでもなく浮きそうで、今からとってもナーバスだ。