うちのAイチ君・・・Aイチは役者

うちの一人息子とも言える、Aイチ(1歳9ヶ月、シャム猫、♂)は、
私がアメリカに来て10日後の、クリスマスに私のところにやってきました。
当時、生後10週目。手のひらに乗るほど小さい白いふわふわのこの坊ちゃんが、
小さな紙袋に入れられて、手渡された時は、
「うっわ〜〜〜ん。な・・・何〜何〜。」と、まさに日本語で叫んでました。
(故・森遥子さんがエッセイに書かれていたけれど、人間英語漬けになっていても、
本気で怒った時と、驚いた時は、母語に戻るそうで。後から聞いたら、相方の家族は、
私の驚きは、「☆◇△○?!!!」に聞こえたそうで・・・)
そして、そんな私を袋の中から、不安げに見上げ
「にゃん」と鳴いたのでした。


その日から、最初の一週間、彼はずーーーっとお母さんを探しては鳴き、
一人でおびえては、キャビネットやクローゼットの隙間に隠れ、
それを私が引っ張り出してはなだめる。
夜も鳴くので、私が一緒にリビングのソファーで撫でてやりながら、
寝かせつけていました。
ですから、ある日、私が外から帰ってきて、
「おかえり〜」と私に寄って来た時の感動と言ったら!!


未だに私と相方の間での語り草になっている出来事があって、
ある日、Aイチが、やたらと「にゃんにゃん」いって走り回っています。
普段はそんなに鳴く猫では無いので、「なんだろう?」と思って見ていると、
にゃんにゃん言いながら餌場の方へ・・・。
追いかけて行ってみると、「にゃぁん」と言いながら座ったのは、
彼の水用のボールの中。
そうです。暖房で、水が干上がってしまっていたのでした。
「すごい!この子は自分が何を欲しいのか、訴えることが出来るんだ!賢いね〜(←飼い主馬鹿)。」と思っていました。


Aイチの体は成長して、
もうボールの中に座ることは出来なくなったのですが、
未だに、水が少なくなっていると、
餌場の手前で、体をぐぅうっと伸ばして倒れ、
指先は水のボールを指差している・・・。
まるで、砂漠で遭難してオアシスを見つけたのに
その一歩手前で力尽きた旅人のように、
はたまた、ミステリーのドラマで、「デスメッセージ」を残した死体のごとく、
ぺたーっとカーペットに張り付いているのです。
「いや、いくらなんでもそこまで喉乾いてないだろう。」
っていうくらいの大げさぶり。
それ以来、Aイチは役者と言われています。