口の痛みと格闘

歯の治療を始めたことは、前回書いたのだが、
その後、治療は進み、
取れたクラウンは、どうやら新しい物を作ることで済むことになり、
今は、仮の柔らかいプラスティックのクラウンを入れられ、
無理しなければ、咀嚼できるところまでになった。


がしかし、歯茎の炎症の治療で、
「スケーリング」と「ルートプランニング」という治療を、
右半分・左半分にわけて受けているのだが、
こっちの方が、大変辛いのである。
今まで、クラウンの治療の前に左側半分を、これは多分軽めに歯石取りし、
その後、右半分を本格的にスケーリングをしたのだが、
左をやってくれた衛生士さんは、随分手馴れて、
しかも最新のテクノロジーを駆使したタイプだったのに比べ、
次の右をしてくれた中年のおばさん衛生士さんは、
左の時とどうも様子が違った。
どうやら、クラシックな手作業派といったところだろうか、
治療の手順も、前回とは異なった。
例のチェリー味の簡易麻酔スプレーもされず、
いきなり治療は始まった。


麻酔が必要な痛さなのかどうかというのは、
患者自身では判断が出来ない。治療中も、何とか耐えられる痛みではあっても、
その後にどのくらいのダメージを受けているのかもわからない。
で、私はおばさん衛生士さんが、スケーラーでがりがり歯周ポケットを攻めている間、
時に神経に当たってひくつきつつ、目に涙を浮かべながら、
耐えた。頑張れば耐えられないこともないが、
結構きっついことは確かだった。
一番奥の歯とその奥の歯茎の間のポケットも、執拗に攻められ、
「一番辛いところは過ぎたわよ。」と言われた頃には、
頑張りすぎて放心状態であった。
目を開けると、衛生士さんの手袋は血だらけだし、
それでも、「きっと悪い血を出してるのよ。これが出きった暁には、
きっと歯茎はすっきりきれいになるんだわ。」
と思い、耐えて耐えて耐え抜いた90分であった。
(後から聞いたら、一時間の予定が90分かかったそうである。)


よっぽど大変な状態だったのだ・・・と言い聞かせて、
家路に着いたのだが、その後が大変であった。
痛い。もう顔の右半分が痛いのである。
何か食べようものなら、しみるわ、歯茎は脈打つわで、
始終、渋い顔をしながら、ようやく噛めるようになった、
左側でしか噛めないことになった。


歯医者に通い始めてから、私の歯磨きはかなり入念になったのだが、
歯茎の炎症を抑えるジェル(結構これで痛みが治まる場合もある)
歯間ブラシ、電動歯ブラシ、フッ素入り酵素歯磨きに、フッ素入りのリンス。
もう、フッ素様サマ状態である。


そんな痛みに耐えて、じんじんする右側の後、
数日後、今度は左側のスケーリングの日になった。
今度は、最初のハイテク衛生士さんである。
彼女に右側がかなり痛いことを告げると、
「あぁ、あなた頑張ったもの。1時間のところ90分も。
今日、麻酔する?」
・・・麻酔するという選択肢があったのかよ!とこれまたびっくり。
(まぁ、アメリカではどんな小さな治療でも麻酔を頼む人もいるそうなのだが)
ということで、先生にちょっと寄ってもらい、
麻酔をしてもらって左側の治療へ。
今回は、手作業よりも機械での治療が多く、
それに麻酔も効いているので、少なくとも治療中の痛みからは解放されていた。
最後には、前回の右側にもジェルを塗ってもらい、
「この前買った歯茎のジェルをがんがん使って、痛み止めも痛かったら飲んでね。」
という、術後の適切な説明を受けて終了。


アメリカの歯科の麻酔は強力である。
今回なんか、左側の鼻まで麻痺していたし、
切れるまで軽く6時間くらいかかったのである。
話すことも出来ないことはないけれど、とにかくすごい効き目で、
話すのを仕事とする私にしてみると自信もないので、
歯医者の日は仕事を休んでいるくらいである。


で、今回も家でぼーーーっとしながら、麻酔が切れるまで、
家のことをちょこちょこしていたのだが、
麻酔が切れて驚きだったのは、午前中やった左側は、
そんなに痛みはなかったのである。
相変わらずおばさん衛生士さんがやった右側は、
奥歯の奥の歯茎が切れてるし、そのポケット周辺はじんじんしている。


めったなことで食欲は落ちない私は、
何としてでも食べる、ある意味強靭な食欲の持ち主である。
(これが、もう駄目と、食欲が落ちてくれれば痩せられるのに〜と思うが、
そんな不純な動機では痩せられない・・・・とほほ)
何とか頑張って食べようと数日試みているのだが、
この右側の歯茎の痛みで、固形のものはほぼ断念せざるを得ない。
もしくは、かなりおそるおそる左でなるべく噛んで・・・という
ややこしい食事になっている。
お粥も炊いてみた。
大麦若葉牛乳で、野菜不足を補うことにしたり、色々やっているのであるが、
依然として、「食べられないわ」と弱音を吐くところ、
何とか食べなくては!と頑張る自分に気づき、
「・・・・恐るべしこの食べる根性」
と、自分をちょっと褒めてしまったりして。
・・・だから痩せないんだよねぇ・・・だって、口が痛いことで、
エクササイズはお休みしてるわけで・・・。でも食べてるし。
と、ここで、非常に自己嫌悪に陥っていたりするわけだ。


とにかく、今は口内環境についてはかなり過敏になっており、
痛い右半分の口を抱えて、非常にブルーな生活を送っているのである。
とほほほほほ。


ちなみに、このスケーリングとルートプラニングという治療。
後で調べてみたら、日本では
「かなり患者に負担のかかる治療なので、1回につき4〜5本というペースで行うのが望ましい」
そうである。
・・・アメリカじゃ、右半分、左半分でやってるんですが、
どうりで口への負担も大きいわけだ。
麻酔も必要だろう、
と今になって知る私である。


来週は、この痛めつけられた右側を更になにかするらしい。
麻酔をお願いする気満々なのはいうまでもないのだが、
この痛み、いつまで続くのか・・・それを考えると今からブルー。
歯ごたえのあるものが食べたいよ〜〜〜。
(結局食べたい話かよ!だから痩せないのよ!と一人突っ込む私)