大人だから?

嫌いなものは嫌い。
それだけ書くと、まるで駄々をこねた子供の発言にも見える。
でもどうなのだろう。
大人になって、嫌いなものというのは、
色々、試行錯誤してでもやっぱり嫌いということかもしれないから、
それって相当嫌いなんじゃないか、という気もする。
食わず嫌いというのは話は別だが、
大抵、大人になってくると、
「好きだから、嫌いだから」という、直接的な感情のみで、
行動するのが難しくなってくるので、
たいていの場合「私は苦手」とか「ちょっと厳しいかな」
と、言葉を濁すこともあるし、
「私がその良さを知らないだけなのかも」
と、結構表現が和らぐものである。


そんな大人になっているにも関わらず
「嫌い」という言葉が出てくるということは、
つまり、「そんな生易しい表現じゃすまないほど嫌い」
ということであるから、相当すごい感情なのではないか?
と思う。


逆に好きという気持ちは、どんどん素直になる気もする。
ま、言って見れば乙女の恥じらいもなくなってくるし、
だって好きなんだもん、しょうがないじゃーん、という、
一種の開き直りにも似た感情。
言って見れば、後ろめたさがないのである。


嫌いというのはネガティブな感情だから、どうしても、
そう思ってしまうことには抵抗もある。
ネガティブな感情を排除して、楽しいことだけで生きていくと言うのは、
理想だと思うけれど、でも大抵の場合、
そのネガティブな感情のやり過ごし方を知っているだけで、
本当に否定的な気持ちが無いのかといえば、
それは多分嘘だと思う。


なぜ、こんなことを書いているのかというと、
相方は、ネガティブな感情に対してかなり否定的だからである。
(ま、この時点で、否定してしまってるんですけれどね。)
興味が無いことには、とことん興味は無い。
正直なのが取り柄と本人はポジティブに解釈する。


なので、私がルームメイト達が苦手という心理は、
彼の中では理解できない域のことであるらしい。
でも、一人一人に感情はあるし、受け止め方も違うってことだと思うので、
相方は平気、私は駄目ってことだろう。


彼が本当に強いと思うのは、物事に執着しない。
ま、いいんじゃない、何とかなるでしょう、というスタンスが、
物凄く徹底している。
多分、私に対しても、大した執着は無いようにも見えて、
時々、不定期で私は落ち込むことがある。
・・・この人、多分私が居なくても大してダメージないんだろうなぁ。
・・・と思いきや、数日離れたりすると、一応、
「どうしてるのかな〜と思って」とか、そういう電話があったりする。
そういうの、日常生活で、もう少し小出しに見せてくれないかなぁと、
思うけれど、彼の言い分は、
「だって、毎朝毎晩会ってるじゃん。」である。
その通り、一応毎朝、毎晩顔を合わせるから、
興味やドキドキなんていう物は無くなって来るというのも判る。
マンネリなんですねぇ、こういうの。


いっそ、別々に暮らしたほうがいいんじゃないかという気もして、
だから、今、こうして自分の部屋に篭ることで、
私は私の時間、彼は彼の時間を過ごすスタイルが出来つつあるのは、
私と彼にとってはいいことだと思う。
いつも一緒にいるっていうのは、彼にとってはかなり苦痛みたいだから。
うざったいみたいだし、だからなるべくあんまり世話を焼かないようにして、
彼が用があったり気が向いたら、部屋に声を掛けにくるくらいが、
丁度いいみたいだ。
スタンスというのは大事だなぁと実感。


それと、「何かをしてあげてる」という感情はなるべく持たないように気をつけている。
食事はほぼ100%私が作るのだが、
私が食べたければ作るというのをなるべくしようと心がけている。
とは言え、やっぱり夕飯作らなきゃ〜と疲れた身体に鞭打って作る自分も居るし、
一緒に食べるからには、美味しいって言って欲しいしと思うと、
ついつい相方の好きなものを作ってあげようとか考えてしまう。
でも、それは全て「私がしたくてやってること」と考えないと、
こういうタイプには、不満がたまる一方になってしまうのである。


つまり、大感激もしてくれないし、何を食べたいか聞いても、別に〜というタイプ。
作っても今食べたくないと、冷めても放っておいて、
お腹が空いたら食べるという感じ。
大して有難いと思ってないと思うので、そういう人には、
彼の為に作ってあげてると思わないほうが得策、と今頃覚えた私である。


ただ、昨日、仕事から帰ってきた相方が、部屋に居る私に気づかず、
一目散で地下に行って友達と話していたのは、
少々傷ついた。
あんた、私のことなんざ、気づきもしなかったのね・・・・・。
そんなにビールが飲みたかったのかい?
「帰ってきたなんて気づかなかったよ〜」と言うと、
「あれ?どこにいたの?」
・・・・興味が無いのもここまでくると、かなりのもんだなぁと思いつつ、
ま、ビールが相手じゃ、誰も敵うまい、と、
一人納得する私だったりする。